記憶媒体の変遷史:洞窟壁画から半導体まで、忘却に抗う3万年の軌跡
人類は忘却に抗うために、記録技術を磨いてきた。石、紙、磁気、光学、半導体。記憶媒体の進化は、人類が過去をどう扱い、未来をどう構想するかを映し出す。
人類は忘却に抗うために、記録技術を磨いてきた。石、紙、磁気、光学、半導体。記憶媒体の進化は、人類が過去をどう扱い、未来をどう構想するかを映し出す。
理化学研究所と九州大学の研究グループが、強い感情を伴う体験や繰り返された体験が記憶に残りやすい理由を、脳内のアストロサイトという細胞の働きから明らかにした。
ギリシャ神話には記憶の女神ムネーモシュネーと忘却の化身レーテーが登場する。記憶は文明を支える力として、忘却は得体の知れない力として、神話の中に位置づけられた。
未完了のタスクほど記憶に残りやすい。そう信じられてきたツァイガルニク効果は、発見当初から再現が困難だった。2025年のメタ分析が示した結論とは。
人の脳はネガティブな情報よりもポジティブな情報を優先的に処理する。この認知バイアスが記憶の形成を歪め、時に問題解決を妨げる。心理学が明らかにした「よかった探し」の光と影。
1月1日が1年の始まりであることに、天文学的な根拠はない。地球の公転に起点はなく、季節にも明確な境目はない。それでも多くの国が同じ日を年初とする、その決定の歴史を辿る。
記憶を司るタンパク質の構造を金沢大学の研究グループが解明。12個のサブユニットが特定の並び方をすることで記憶が刻まれる仕組みが、40年越しに明らかになった。
「覚えてろよ」という捨て台詞は現実ではほとんど使われないのに、フィクションでは定番だ。この言葉が物語の中で果たす機能を考察する。
「昔はよかった」と感じるのはなぜか。心理学研究は、記憶が想起のたびに編集され、過去が実際よりも美しく思い出されることを明らかにした。
東北大学の研究グループが、味を思い出す訓練により味覚が鋭敏になることを実証した。3日間の訓練で、微妙な甘味の違いを識別できるようになるという。
個人の記憶が消えても、社会は記憶し続ける。地名、モニュメント、記念日──それらは誰の記憶なのか。個人と社会の記憶の境界を探る。
スーパーコンピュータ「富岳」が、マウスの大脳皮質全体を仮想空間に再現した。900万のニューロン、260億のシナプスを持つ、世界最大級の精緻な脳モデルが誕生した。
社会の記憶
地名には、その土地の地形、災害、産業の記憶が刻まれている。開発によって上書きされゆく記憶と、物理空間に残留する痕跡のあいだで、私たちは何を読み取れるのか。
ニュース
チョコレートや赤ワインの「渋み」が記憶力を高める──。芝浦工業大学の研究は、成分の摂取だけでなく、口内で感じる感覚刺激そのものが脳を活性化させる可能性を示した。
文化と表現
匂いは記憶の最も原始的な入り口だ。しかし、匂いそのものを記録し、再生することは今も困難である。人類が「失われた匂い」を追い求めてきた軌跡を辿る。
ニュース
記録技術の進化は、ついに人間の「自己」の領域へと到達した。ユネスコが採択した世界初の神経技術倫理勧告を読み解き、「記憶」と「精神」の不可侵性を守る国際規範の意義を考察する。
ニュース
東京医科大が、海馬の土台が胎児期に早期設計されることを解明。記憶の能力は生まれながらにプログラムされており、発達障害や認知症の病因解明に新たな視座を開く。
文化と表現
写真は記憶を代行し、脳は能動的な記録を放棄し始めた。この二律背反的な関係は、偽の記憶を形成する危険性を生み、私たちの記憶の主体性を問う。
時間と倫理
FBIの召喚状は、ウェブ魚拓の匿名性と記録の主権を問う。archive.todayの運営者情報が炙り出す、公的な力と非公式なアーカイブの倫理的衝突を読み解く。
人の記憶
情報過多の時代、脳の課題は「覚える」ことではなく「賢く忘れる」ことだ。忘却を能動的な「剪定機能」と捉え、情報に翻弄されない賢い脳の使い方を、神経科学から解説する。
技術と記録
電子がすべてを覚えている現代、人間は忘却を深めている。デジタル記録の永続性と、脳の動的な編集機能が衝突する時、「自己の定義」と「忘れる権利」はどこへ向かうのか。